第10回。
二人は失った人を求めていた
思い出に焦がれ
もう戻らない日々を
必死に探していた
現実はそこにあるのに
心は遠く
海の彼方
忘れたくても
忘れられない思い出
その数々が
言葉になって蘇ったとき
彼は瓶にそれを詰めて
海へと送った
彼女はそれを
離れた場所から受け取った
そうして二人は出会った
純粋に人を愛したとき
その半面で人は傷つく
乗り越えられない痛みを
共にしたそのとき
運命の嵐は
二人の愛を証明し
また悲劇にも誘う
瓶の中に詰められた
いくつもの愛のメッセージは
思い出の中へ二人を連れ
新たな愛へと導いた