第6回。 | いつか、光り射す場所へ。~コラム723~

第6回。

舞台の上は、楽園だ
そこに立つ者が楽しく歌い踊り
演じることによって生まれてゆく世界に
人々は引き込まれ
魅了され
心温められ
現実世界へ戻るための
力を与えられる


舞台の上は、戦場だ
そこに立つ者は
日々多くの試練をくぐり抜けて
この場所に立つ
人々はそれを知らない
彼らがどれほど多くの汗と涙を流しているかを

そしてそれでも何故

この場所で笑顔を見せることができているのかを


舞台の上は、異世界だ
訪れては束の間の後に消える
ここにはない不思議な世界
人々はそこに立つ者を
時には笑い
時には哀れむ
彼らはそれを求めている
人々の持つさまざまな感情が
現実世界と
異世界の狭間で
ひとつになることを


彼らは長い間
異世界と現実世界を
行き来しながら
多くのものを
私たちに伝えてきた

彼らは使者であり
闘士であり
選ばれた人であった


彼らが歩んできた道を
今の彼らとともに
辿ってみよう
彼らが
舞台という名の
楽園と戦場と異世界で
何を思い
何を得てきたか
そのひとかけらを
同じ時間の中で共有したい


20th Century「10」TONI-TEN

出版社名: ぴあ(ISBN: 4-8356-0730-9)

発行年月日: 2005年6月8日